『真夜中に陽のあたるところ』

2020.11.04

半年ぶりの更新になってしまいました。細々と続けてきたページだけれどこんなにも間を置いてしまったのは初めてのこと。「ブログ、なかなか更新されないねぇ」なんて言ってくれる優しいひとがいて(剛くん、ありがとう)、そんな風に言ってもらえるなんて嬉しいなぁ☺︎

夏頃のこと、4月の終わりに予定していたスウェーデンでの展示とワークショップが延期になって、4月初めには東京でのワークショップも予定していたけれどこちらも延期に、こんな状況だから仕方ないけれど目標がなくなるとどうにも気持ちが後ろ向きになってしまいます。

東京のワークショップに参加いただく予定だった方から句集の依頼を受けたのが6月の初めごろ、娘さんの高校の卒業論文発表会のために年末から春先にかけて毎日一句ずつ詠んでいた句を一冊の本にまとめてほしいとのことでした。依頼を受ける際、初めての方とは一度はお会いしてサンプルを見せながら相談するのだけれど、いまは難しいので手紙やメールでのやり取りとなりますとお伝えして、まずは娘さんのお好きな本をと伺ったら一冊の詩集が送られてきました。

「詩集には押し花が数枚と美術館の入館チケットの半券がはさまっていたようなのですが、娘の雰囲気が少しでもお伝えできるかな、と思いそのまま封をしてしまいました。なのではらりと落ちたりしても、どうぞ気になさらないでください。と、本人も申しております☺︎(出かけた先の思い出を折れないように挟んでおいてそのままにし、読んでいた時期と思い出を重ねるという習慣は、私が移してしまったみたいです)」

詩集はわたしもとても好きな作家のひとり須賀敦子さんの『主よ、一羽の鳩のために』でした。180ページものページをレイアウトするなんてほとんど初めてのこと、いただいた手紙と押し花の挟まった淡い水色の一冊の詩集が後ろ向きだった心を開いてくれたようでした。製本家の仕事は印刷されたものを綴じること、箱に納めることですが、少数部のものはページのレイアウトから携わることもあります。その後もメールや手紙のやり取りを数週間続けて2冊の句集(提出用とご家族用)が仕上がりました。タイトルは『真夜中に陽のあたるところ』、表紙は淡いブルーの紙で覆い、開きもよいシンプルなコデックス装、手ざわりのある白い函に納めました。

「卒論発表会にて、たくさんの方に見ていただくことができました。実際に手にとっていただいたとき、私が感じたのとよく似た感想を伝えて下さる方が多くいらして、一つ一つが、句集のページのように今も娘の胸の中で連なっているのではないでしょうか。発表も、娘の取り組みのすべてを出すことのできた良い発表となり、句集の表紙のような、淡いブルーの思い出が、私にもあらたに生まれました。」

いつかお会いできる日があるかなぁなんて、そのときはあれもこれもと話したいことがたくさんあってなんだか古い友達のような心持ちです。


十一月四日 水曜日(でもやっぱりデザインは難しい…)




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